Amazonにおける本の紹介
新進気鋭のAI研究者が大予測! 生成AIで変わる私たちの仕事・くらし・文化
話題の生成AI、どこまでなにができる?
AIって結局、どんなしくみで動いているの?
最新テクノロジーで私たちの仕事は奪われる?
AIで働き方や生活がどう変わるのか知りたい…
ChatGPT、Bing、Claude、Midjourney、Stable Diffusion、Adobe Firefly、Google Bard…今世紀最大ともいえる変革を全世界にもたらした、生成AI。
この時代を生きるわたしたちにとって、人工知能をはじめとする最新テクノロジー、そしてそれに伴う技術革新は、ビジネス、社会生活、娯楽など、多様な側面で個々人の人生に影響を及ぼす存在となっています。
ただでさえ変化スピードが速く、情報のキャッチアップに苦戦するテクノロジー領域。数か月後には今の状況ががらりと変わってる可能性が非常に高い…そのような状況下で、今私たちは生きています。
ホットな話題でいえば、「クリエイターはみなAIに取って代わられるのでは?」「人間にしかできない価値創造ってなに?」など、これまで当たり前だと信じて疑わなかった「労働」「お金」「日常生活」などのパラダイムシフトが起こっています。
そんな今、まさにみなさんに手に取っていただきたいのがこの1冊です。
この時代を生きる多くの方が抱いているであろう不安や疑問、そして未来への興味関心に、本書はお応えします。
本書では、AI研究の第一人者である東京大学教授・内閣府AI戦略会議座長を務める松尾豊氏の研究室所属の今井翔太氏が、生成AIで激変する世界を大予測!
激動の時代を生きるすべての人にとって、これから到来する未来を生き抜くヒントと正しい技術的知識を提供します。
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感想
東京大学松尾研究室に所属しているAI研究者の今井さん(2024年1月現在D4)が書かれた本ということで、昨年末に予約して新年から読むのを楽しみにしていました。
生成AIの現状や背景技術、課題や今後の展望について、バランスよくコンパクトにまとまっていて、生成AIに興味はあるけど詳しくない人が最初に読むのにちょうどいい本かなと思いました。
すでに生成AIを使っている人、生成AIについて情報を集めている人にとっては、知っていることが多いかなと思いますが、本書は「AIは仕事で使っている・興味があるけど生成AIのことはあんまりよく知らない」人々がターゲットだと思われ、これらの人たちにとってはクイックに情報が得られるのでとてもおすすめできます。
また、末尾に充実した参考文献が載っているので、詳しい方にとっては本文よりこちらの方が役に立つかもしれません。
ただ、タイトルが『生成AIで世界はこう変わる』なので、この点を期待して読まれた方はちょっと物足りなく感じるかも。著者が考える生成AIの未来・展望はかなりマイルドというか、優等生的回答かなと思いました。最先端のAIを研究している人がどういう認識なのかがわかるのはよかったです。
「未来予測」という点だと、以前書評を書いた『生成AI時代の「超仕事術」大全』はアクセンチュアのコンサルの方が書いた本なので、なかなか説得力のある未来像が示されていて面白かったです。(書評はこちら 【書評】『生成AI時代の「超」仕事術大全』〜スーパーコンサルの本気!全人類必読!)
また、日本のAIのトップランナーである東京大学の松尾豊先生との対談が載っていて、短いですが、日本のAI政策に影響力のある先生がどのような考えをお持ちなのかが伺えておもしろかったです。著者の今井さんは松尾研究室の学生ということもあって、対談というよりは、インタビューという感じでした。
松尾先生はディープラーニング協会の理事長もされていますし、国に提言したりなど、研究者というより業界を盛り上げることに力を注いでいる印象があります。なので、対談で「日本がどうこう、というのではなく自分自身がどうするかが大事」「プレイヤーとして未来を切り拓こうとしてきた」というようなことをおっしゃっていてちょっと意外でした。
松尾研はスタッフ・学生合わせて100人以上(しかもスタッフの方の方が多い!)で本当に大研究室ですね。松尾研発のベンチャーも複数ありますし、ここからトッププレイヤーたちが輩出されるのでしょう。
(本当にすごいけど、こういう競争が激しいところで戦うのは個人的にはしんどそうだな…と思ってしまう凡人なわたくしです…)
200ページほどに要点がまとまっていてサラッと読めますし、新書なのでお値段も1000円以下とお安いので、軽い気持ちで読んでみてはいかがでしょうか。
概要
はじめに・おわりに
著者は東京大学松尾研究室に所属し、生成AI、特に強化学習の専門家です。生成AIの技術的基礎とそれがもたらす社会的変革に焦点を当て、今後の重要なトピックを探求しています。著者は「人間中心の社会」の概念を重視し、生成AIがもたらす変革の中での機会の豊富さを強調しています。
第1章 「生成AI革命」という歴史の転換点
生成AIの概念、機能、及びその歴史的重要性について詳述しています。生成AIは、ニューラルネットワークに基づく広範な生成システムとして定義され、ChatGPTのような言語モデル例を挙げて説明しています。この章では、生成AIが汎用技術としてどのように機能し、雇用や社会にどのような影響を及ぼす可能性があるかを掘り下げています。
第2章 生成AIの背後にある技術
この章では、生成AIの技術的基盤と歴史的背景に焦点を当てています。AIの進化、特にディープラーニングとトランスフォーマーモデルの発展について説明し、生成AIの重要な技術として言語モデルや拡散モデルを紹介しています。また、生成AIの学習方法としての穴埋め問題の学習や強化学習、トランスフォーマーモデルの重要性についても触れています。
第3章 AIによって消える仕事・残る仕事
AI、特に生成AIの労働市場への影響について検討しています。生成AIが従来AIが困難とされていた創造的かつ社会的な職務を実行可能にし、高賃金の仕事にも影響を及ぼす可能性があることを示しています。ポランニーのパラドックスやモラベックのパラドックスによる限界も議論されており、技術が労働補完型か労働置換型かの違いについても考察しています。
(ポランニーのパラドックスは、言葉で表現できる以上のことを人間が知っているという考え。モラベックのパラドックスは、AIにとって人間が簡単にこなすことが難しいということ。)
第4章 AIが問い直す「創作」の価値
この章では、生成AIが文化芸術に与える影響を4つの観点から探究しています。AIが特別な創作能力を持たない人々にも質の高いコンテンツ生成を可能にする方法、AIによる新しい文化コンテンツの出現、創作能力を持つ者とAIの組み合わせ、AIによる創作物の評価基準の変化などが議論されています。生成AIの創造性に関する限界と可能性についても論じています。
第5章 生成AIとともに歩む人類の未来
将来の生成AIがもたらす影響とその潜在的な負の側面について考察しています。AIの万能性、技術の進化に伴う人間の役割の変化、生産性の向上、創造性と自由な時間の関係などが探究されています。また、学習データと著作権、フェイクコンテンツの問題、情報の信頼性など、生成AIに関連する主要な議論にも触れています。
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