Amazonにおける本の紹介
転職を考えている人や、キャリアにもやもやを感じている人へ。今の働き方に、心から満足できていますか?
・自分が損しないキャリアを選びたい
・成長はしたいけど、消耗はしたくない
・将来詰まないように、スキルが身に付く働き方をしたい
そう思ったときに読んでほしい、今やるべきことが見えてくる1冊。
amazon.co.jp
感想
Kindle Unlimitedで無料で読めるので読んでみました。
30代半ばになり、これからの働き方・生き方をどうしようかなあと思い悩む日々で、いろいろキャリアに関する本を読んでみています。
この本はキャリアにおいて議論されるようなことが体系的に整理されています。「5つの資があり、一つ目の資である資格では5つの要素を考えることが必要で…」のような形式で整然と整理されていて、論理がわかりやすい構成になっています。さすが元リクルートの人だ!
一方で具体例…キャリア例などがないので、イメージはつかみにくかったです。
「5つの資」は順番に年代別になっているので、「ある人のキャリアの積み重ね方」を書いた物語形式になっていても面白かったかもしれません。
本書の中で面白かったのは、最終章の「キャリアとの向き合い方」のところです。
キャリアアップは一般的に出世や給料アップなどと関連付けられますが、その本質は「交渉力の向上」にあるというのはなるほどなあ〜と思いました。経験を積んで、所属組織内やクライアントへの交渉力を高めることで、選択肢の自由と望ましい働き方を実現することが真のキャリアアップなのですね。
よりよい条件のところに転職するのも一つの手ですが、自社の中で自分の意見が通るようになればそれでもいいわけです。
会社の仕組みや働き方は変えられないと思っている人も多いと思いますが、快適に働くためには「交渉する」というのはすごく大事な観点だなと思いました。
結局、「どんなキャリアを積みたいか?」は「どんなふうに生きていきたいか?」ということになってくるので、自分の心に「自分はどうしたい?どうなりたい?」と問いかけていかないといけないですね。
本書では、転職を考えていなくても、半年〜1年で自分のこれまでとこれからのキャリアを見直して職務経歴書を書くこと、成果を「STAR」形式(状況、課題、行動、結果)でまとめることをすすめています。
たしかに自分でも自分が何をしてきたか忘れていたりするので、定期的にドキュメントにまとめる習慣があるとよさそうだなと思ったので、さっそくやってみることにします。
概要
はじめに・おわりに
現代社会の不確実性に対処するためには、内面的な要素を外部化し、大きな問題を具体的で扱いやすいサイズに変換することが効果的であり、「5つの資」フレームを通じてキャリアの各段階を理解し、適切な時期に応じたアクションを取ることが重要です。キャリアは資格、資源、資質、資本、資産の段階を経て形成され、年代に応じて異なる焦点を持つことが推奨されています。
第1章 資格〜やりたいことへの挑戦権
「資格」とは、自分がやりたいことに近づくための挑戦権であり、進学や就職などに関連します。挑戦権を得るためには、「関心の幅」「自己理解」「企業理解・職種理解」「意思決定」「自己効力感」の要素を考えることが大切で、これらはキャリアのスタート地点や新たな挑戦にも役立つ要素です。
1-1 関心の幅
挑戦権(資格)を得るためには、まず「関心の幅」を広げることが大切で、これを実現するためには経験の幅を広げる必要があり、その際にはタイミングを考慮することも重要です。
1-2 自己理解
挑戦権(資格)を得るためには、「自己理解」も重要で、自分と企業・職種をマッチングさせるためには、実務経験や人とのつながりによって深める必要があります。
1-3 企業理解・職種理解
挑戦権(資格)を得るためには、「企業理解・職種理解」も大切で、自己理解だけでなく、リアルな情報を得ることが重要で口コミサイトや企業の中途採用ページのJob Descriptionを確認することが役立ちます。
1-4 意思決定
選択には5つの要素が関与しています。選択肢を増やすこと、選択基準を明確にすること、情報不足や認知バイアスに注意すること、決断力を養うこと、そしてその後のスタンスを大切にすることが必要です。
1-5 自己効力感
自己効力感を高めるためには、成功体験や他人の成功体験、言葉の影響、体調や健康状態など4つの要素が重要です。
第2章 資源〜資本の元となる時限的リソース
「資源」は仕事に使える時間、体力、頭の働き、新鮮な気持ちなど、社会人になった時点で持っているが、加齢とともに減少していく時限的なリソースから成り立っています。
2-1 仕事に使える時間
資源の1つである時間は、結婚や子育て、体力の衰えなど、様々な事情によって限られたものとなり、資本を築くためにはその限られた時間を活用し、休息も重要に考えるべきであることが強調されています。また、キャパシティには心、体力、能力、時間の4つの要素があり、その中で最も大切なのは心のキャパシティであり、体力や能力に余裕があっても心のキャパシティが限界を超えないように注意すべきだと述べられています。
2-2 体力
体力は限られた時限的なリソースであり、人は体力の限界を超えて働くことができない時期が訪れます。ブラック企業は体力から資本への転換が難しい企業や働き方を指す可能性があると指摘されています。
2-3 頭のはたらき
頭のはたらきは、流動性知能と結晶性知能に分かれ、前者は年齢とともに低下する一方、後者は経験と学習によって成長し、年齢に影響を受けにくいことが研究結果から示されています。
2-4 新鮮な気持ち
新鮮な気持ちや感動する心は、挑戦に必要なエネルギー源であり、その維持には機会創出、付き合う人、自己開拓・挑戦の3つの要素が影響を与えており、個人差が大きいことが指摘されています。
第3章 資質〜資源を有効活用するための持ち味
資源(時間、体力、頭のはたらき、新鮮な気持ち)は限られた時期にしか利用できません。自己の特性を理解し、好き嫌い、得手不得手、原動力、勇気といった資質を活かすことが重要であることが強調されています。
3-1 好き嫌い
キャリアにおいて、自分の「好き嫌い」を理解し、カテゴリと仕事内容を混同せず、多くの経験を積んで自分の好みを見つけることが重要であり、行動しながら自分の関心を広げることが必要です。
3-2 得手不得手
得手不得手は相対的な概念であり、自分の中での比較と他人との比較を通じて理解し、克服すべき弱みに焦点を当てることが重要です。
3-3 原動力
「起動」「駆動」「感動」という3つのカテゴリに分けて、合計12の原動力について説明されています。起動系の原動力には、「好きなもの」「好奇心」「ビジョン」「責任・役割」があり、これらは新しい仕事を始めたり、興味を持って挑戦したりするときに役立ちます。駆動系の原動力には、「チームワーク」「貢献」「クエストクリア」「自律」が含まれ、仕事やプロジェクトを進めている最中に活力を保つために重要です。感動系の原動力には、「報酬」「成長実感」「競争・勝負」「クラフト」があり、仕事の成果や経験から感動や充実感を得ることが重要です。自分の原動力を理解し、それに合った仕事や働き方を選ぶことで、満足度の高いキャリアを築くことができるでしょう。
3-4 成長する力
成長には経験学習と勇気が不可欠で、経験学習では内省的観察、抽象的概念化、積極的実践が重要です。勇気は負けの経験からも学び、3つの勇気(踏み出す、見つめる、受け入れる勇気)が成長に貢献します。そして、勇気を養うには挑戦とダメージを受け入れることが必要です。
第4章 資本〜資産を得ていくための強み
仕事での成長と成功のためには、自分の資源と資質を活用し、バランスの取れた資本(マインドセット、思考力、専門性、実績、人脈、資金)を構築することが重要です。
4-1 マインドセット
仕事において重要なマインドセットは「意味づけ」「逆算」「実験」の3つです。「意味づけ」では、日常の作業に意味を見出し、モチベーションを高めます。「逆算」では、目標達成を前提とし、難易度よりも解決策に焦点を当てます。「実験」は、新しい挑戦を前例にとらわれず試すマインドセットです。これらは、仕事の成果や満足感を高めるために役立ちます。
4-2 思考力・判断力
資本の2つめは「思考力・判断力」であり、これには「ハイスペック」(処理能力)、「賢人」(適切な問いの設定)、「ロジックマスター」(構築・分析)、および「クリエイター」(創造的アプローチ)の4タイプがあります。これらの能力を伸ばすためには多様な経験と好奇心が重要で、特に「賢人」と「ロジックマスター」は周囲の環境に大きく影響されます。
4-3 専門性・技術
資本の3つめ「専門性・技術」も重要な資産です。専門性を把握し維持するために「スキル年表」を活用することが推奨されています。また、専門性は「分野の専門性」と「社内の専門性」の2種類があり、どちらもキャリアにおいて重要ですが、環境によってその価値は変わるため、個人は環境変化への適応と自己認識が、組織は個人の能力発揮を支援することが重要です。
4-4 実績・信頼・評価
資本の4つめ「実績・信頼・評価」を維持するためには、職務経歴書を定期的に更新し、成果を「STAR」形式(状況、課題、行動、結果)でまとめることが効果的です。これは自己のキャリアの振り返りに役立ち、転職活動やSTAR面接の準備にも有効です。
4-5 人脈
資本の5つめ「人脈」は、単なるネットワーク以上に重要で、その本質は相互の「応援」にあります。応援されるためには嘘がないこと、わかりやすさ、一生懸命さが重要で、普段からの相互応援が人脈を豊かにする鍵となります。
4-6 お金
「お金」は自己投資や新しいチャレンジのための手段として必要であり、雇用されている場合の給与は利益率、需給バランス、経営の意思、個人のパフォーマンスの順に影響されます。
第5章 資産〜働く理由となりうる価値
本書では資産を「働く理由となる価値」と定義し、仕事を通じての成長や市場価値の向上を目指し、老後も続く人生での希望や安心を得るためのものとしています。
5-1 相互理解とつながり
資産の一つである「相互信頼とつながり」は、数ではなく質が重要で、互いに信頼し喜びを感じる関係性を指します。これを築くためには、人間性、一貫性、真正性、返報性の4つの要素が重要であり、これらを通じて得られる相互信頼は充実したキャリアにおいて不可欠です。
5-2 金銭的な余裕
資産の2つ目「金銭的な余裕」は選択肢を増やし、幸せを維持するための重要な要素ですが、必ずしも幸せを保証するものではありません。金銭的余裕は、望む生活を送るために必要な金額を理解し、使える時間の豊かさや精神的な豊かさと結びつけることで、豊かで幸せな人生へとつながります。
5-3 人や社会への貢献実感
働くことにより得られる「人や社会への貢献実感」は重要な資産であり、自分がどのように貢献し、それを実感しているかを明確にしましょう。
5-4 自分なりに感じる価値
キャリアにおいて、自己満足とタテ軸(年収や地位)よりもヨコ軸(満足度や喜び)を広げることが重要であると説明されています。
5-5 いい思い出
資産の5つめは「いい思い出」で、これは年齢に関係なく、後で振り返って喜ぶことが大切です。
第6章 キャリアとの向き合い方
キャリアについての向き合い方や重要な考え方、問題の回避方法について詳しく説明し、キャリアに関するさまざまな悩みに対処する方法を提供します。
6-1 キャリアアップ=交渉力の向上
キャリアアップは一般的に出世や給料アップなどと関連付けられますが、その本質は「交渉力の向上」にあり、所属組織内やクライアントへの交渉力を高めることで、選択肢の自由と望ましい働き方を実現することが真のキャリアアップです。
6-2 キャリアにおける「詰み」回避
キャリアの詰みを回避するためには、自社への過剰適応や良くない評判の広まり、専門性・技術の陳腐化、キャリアの旬を逃す、体調を崩して働けなくなるといったリスクを意識し、常に自身のキャリアを見直し、健康管理にも注意を払うことが重要です。
6-3 キャリアにおける「リスク」との付き合い方
個々人に異なるリスクを理解し、適切に対応するためには、自分が望む状態を明確に認識し、複数の選択肢を用意し、リスクを小分けにしてコントロール可能なサイズにすることが重要であり、それによって不確実性を可能性に変えることができます。
6-4 キャリアのチューニング
キャリア形成においては、自分や社会の変化に応じてキャリアを調整し、向かう方向や進み方に違和感を感じた際には新たな選択肢を持つことが重要であり、自分自身がキャリアのオーナーであることを忘れずに舵を取ることが大切です。
6-5 キャリアは我慢大会ではない
キャリアを我慢の連続と捉えるのではなく、意味のない我慢と意味のある我慢を区別し、正しい付き合い方をすることが重要です。
6-6 今の仕事に満足できていないときは
仕事に満足できない場合、ハックマン・オルダムの職務特性モデルを参考にして、技能多様性、タスク完結性、タスク重要性、自律性、フィードバックの5つの側面を改善することで職務満足度を高めることができます。これは上司がチームメンバーの職務満足を向上させる際にも有効なアプローチとなります。
6-7 人に相談するときの注意点
キャリアについては、まずはクイックに相談して、自分の考えを整理することが有益であり、相談相手は自分をコントロールしようとする人や自身の損得に関わる人を避けるべきです。
6-8 飢えと飽きと危機感
キャリア形成において「飢え」「飽き」「危機感」は、一見ネガティブに思えるものの、実際には成長と変化を促す重要な信号として機能し、適度に保つことが健全なキャリアのために必要です。
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