たまには趣向を変えて、技術書以外の本も紹介してみます!
ファンタジーとSFと歴史物(と猫漫画)に偏ったチョイスです。
漫画編
『最果てのパラディン』(既刊11巻)(なろう小説のコミカライズ)
これはもう、めちゃくちゃ感動して泣きます…!
主人公のウィリアム(ウィル)は、かつて伝説の戦士で、現在はアンデッドとして暮らしている3人に育てられます。幼い頃から英才教育を受けたので、ウィルはものすごく強いです。でも、戦う相手が神様(多神教の世界です)とかドラゴンとかなので、無敵すぎてつまらないということは全くないです。(もちろん雑魚には圧勝しますが)
神様との出会いがあり、「パラディン(聖騎士)」になって、その後旅の仲間が増えていきます。普通はここでお色気担当の女の子が加わるはずなのですが、この本では女の子の仲間がいなくて、むさ苦しいパーティです。でも友情と信頼が熱いんですよ!
毎巻泣いてしまう。
ウィルの旅立ち編が感動的で素敵なので、まずは3巻くらいまで読んでみていただきたいです。
『傾国の仕立て屋 ローズ・ベルタン』(既刊8巻)
マリー・アントワネットに重用され、「モード大臣」と呼ばれた仕立て屋、マリー・ローズ・ベルタンの物語です。
とにかく取材が綿密で、すみずみまで調査して書かれているので歴史好きにはたまらないです。マリー・アントワネットの時代はもう描かれ尽くしている感がありますが、貴族ではなく平民の職人が主人公なので、既存の物語とは違う視点でこの時代を楽しむことができます。
ベルタンの作るドレス、ベルタンの仕事仲間の髪結士の作る髪型、どれもものすごく書き込んであるので、見応えがありますよ。
8巻ではポリニャック伯夫人が登場したあたりまでですが、これからマリー・アントワネットは悲劇に向かって進んでいきます。歴史の展開はわかっていますが、ベルタンの立場はどうなっていくのかこれから楽しみです。
「仕事人間」で、生涯独身だったベルタン。お仕事漫画としてもおもしろいです。
『魔道具士ダリヤはうつむかない』(既刊5巻)(小説のコミカライズ)
こちらもお仕事漫画です。
ファンタジーの世界。スライムなどの魔物がドロップするアイテムを、魔力で加工して魔道具を作る「魔道具士」のダリヤ(女性)。現代世界の記憶を持って転生しているため、アイデアで勝負していきます。
アイデア魔道具を開発し、商会長として商品を売り込んでいくお仕事漫画としての側面も面白いのですが、友人のヴォルフ(男性)との飲み会の描写が美味しそうで、とてもお酒が飲みたくなりますよ(夜中に読むのはやめたほうがいいかも)。
ヴォルフとの友達以上恋人未満の関係はじれったくもありますが、慎重に丁寧に進展していくので、読んでいて安心感があります。
『薬屋のひとりごと』(既刊11巻)(なろう小説のコミカライズ)
中華風宮廷謎解きミステリーものです。
ミステリーの謎解きネタとしてはそれほどひねりはない感じですが、主人公の猫猫の変人キャラクターがおもしろいです。娼館育ちのため、恋愛や結婚に全く興味がない一方で、薬(生薬)に関しては目を輝かせます。クールなようでいて、意外とおせっかいなところも魅力的です。
コミカライズとしては別の漫画家さんで2種類あるのですが、わたしはこちらのねこクラゲ先生の絵柄が好み。
『ねことわたしとドイッチュラント』(既刊5巻)
ドイツ在住の作者さんのドイツ紹介漫画(食べ物中心)です。
しゃべって2足歩行する猫の「むぎくん」が登場します。むぎくんの存在は、みんな普通に受け入れていてそこはファンタジーなのですが、それ以外は在住日本人のリアルな生活です。
ごはんが美味しそうなのと、ドイツでの生活が素敵で、行ってみたくなります。ドイツいいですよね〜一度は行ってみたい。
モノクロですが、可愛い絵柄で絵本を読んでいるみたいな気持ちになります。
何度も読み返している大事な漫画です。続きが楽しみ。
猫漫画編
こちらは猫を飼っている人にしかおもしろさはわからないかな…猫飼っていて猫漫画読むと「あるある」で、「あーやっぱりうちの子が世界一だな」と思うんですよ。
さらっといきたいと思います。
『うちの猫がまた変なことしてる。』(既刊7巻)
フルカラーの4コマ漫画です。
白黒のトンちゃんとキジ白のシノさん、預かり猫のたねおの3匹の日常。
うちも初代猫が白黒、2代目がキジ白なので、親近感があります。
『シャム猫あずきさんは世界の中心』(既刊4巻)
シャムミックスのあずきさんとの日常。
作者の、のべ子さんがあずきさんを溺愛していてほほえましいです。猫特有の「関節どこいったの?!」なポーズもきちんと表現されていて、デフォルメした表現ながらも猫再現度が高いです。
小説編
『茨文字の魔法 (創元推理文庫)』
これまで読んだ中で一番好きなファンタジー小説です。
王立図書館で育った捨子のネペンテスがある一冊の本に出会って、物語が動いていきます。
本の中の物語と、ネペンテスの世界が同時進行で進んでいきますが、だんだんとリンクしてきます。
本の中の本という設定は珍しくはないですが、本書は高いレベルでまとまっています。
マキリップは『妖女サイベルの呼び声』も素晴らしいですが、こちらは絶版になっています。
『ついには誰もがすべてを忘れる』
この世界には、一日しか記憶を保てない「モノ」と二日しか記憶を保てない「デュオ」しかいません。そのため、みんな日記を書いていて、日記を読むことで過去を思い出しています。
殺人事件が起き、捜査する刑事が殺された女ソフィアの日記を読むことで話が進んでいきます。
殺されたソフィア・アリッサ・アイリングのキャラクターが強烈で、それでぐいぐいと話に引き込まれていきます。過去の行方不明事件との関連が次第に明らかになり、容疑者は追い詰められていきます。
記憶が日記頼りである、というところが物語のキーです。
特殊な設定でありますが、わたしたちも自分に都合の良いように記憶を改変していることがありますよね。なるほどそうきたか、というラストも充実感がありました。
続編があるらしいのですが、翻訳はありません。読んでみたい気はするけど、本書の完成度が高いので、このままでも良いかも。
『星を継ぐもの』
言わずと知れた名作。
月面調査員が、真紅の宇宙服をまとった死体を発見した。綿密な調査の結果、この死体はなんと死後5万年を経過していることが判明する。果たして現生人類とのつながりは、いかなるものなのか? いっぽう木星の衛星ガニメデでは、地球のものではない宇宙船の残骸が発見された……。ハードSFの巨星が一世を風靡したデビュー作。第12回星雲賞海外長編部門受賞作。
あらすじを読んだだけで面白いとわかります。
古い本なので、翻訳が硬いところもありますし、キャラクター造形はステレオタイプで魅力はありませんが、謎解きミステリーとしてよくできているのでぐんぐん引き込まれます。
新版が出たばかりみたいなので読んでみてください。
『高慢と偏見』
あの夏目漱石も激賞していた、ジェーン・オースティンの名作。
恋愛小説として完璧です。主人公のエリザベス、ヒーローのダーシーのキャラクターが素敵なんですよね。
BBCのドラマ版も大好き。
サイエンス読み物
『人間をお休みしてヤギになってみた結果』
もうタイトルからして面白いことが確定しています!
真剣にヤギになるにはどうしたらいいか考えて、専門家に話を聞きにいきます。そしてついにヤギマシーンを作ってヤギ体験をしてしまうんです。
この人は『ゼロからトースターを作ってみた結果』という本もあるのですが、普通の人なら諦めるようなところまでとことん追求するところがすごい変態です(褒めています)。
『バッタを倒しにアフリカへ』
バッタ博士としてアフリカのモーリタニアへ単身研究へ。ここで結果を出せるかどうかで研究者として大成できるかどうかが決まります。その辺りのシビアな現実もありつつ、全体としてはコメディ調で面白く読めます。
研究者、熱いぜ!
『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ』
NHKラジオ「子ども科学電話相談」の「バード川上」として有名な川上和人先生の本です。大好き!川上先生は森林総合研究所所属の鳥類学者で、小笠原諸島を中心に研究をされています。
とにかく文章がうまくて読ませます。子ども科学電話相談でキッズたちにわかりやすく説明できる説明力・描写力が発揮されています。
子ども科学電話相談では「ダイナソー小林」こと小林快次先生との掛け合いが名物なんですよ。バード川上は「恐竜は鳥」と主張していますが、ダイナソー小林は「鳥は恐竜」と主張していて意見が合わないのですが、尊重し合っていて(でも自説は譲らない)面白いんですよね。『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』という本も出していらっしゃいます。
おわりに
かなり好みが偏っていますね。
このブックリストに興味をもってくださった方とはお友達になれる気がします。
新しい世界との出会いのきっかけになれれば嬉しいです。
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